2022年1月11日、一般社団法人ひとのわ協会コミュニティスペースにて、星野敦子氏(十文字学園女子大学教授・地域連携共同研究所 所長)による講演セミナー「『こどもの貧困』に向き合うことの意義-コミュニティとしての居場所づくりと児童福祉の接点-」を開催いたしました。
子ども支援という観点から考えた時に、そもそも「子ども」を社会の中で我々がどう捉えているのか。今の日本ではどう言う社会を目指して動いているのか。「子どもの貧困」の現状と取り組みなどを、教育学的な観点、政治・法律的な観点などから講義いただきました。
「中世まで子どもは大人と区別されず『小さな大人』として扱われていた。避妊の普及による出生率の低下で子ども一人一人に対する注目度が上がり、子供に対する見方がだんだん変わってきた。
その時代に書かれた「子ども発見書」と言われるルソーの「エミール」の中で書かれている「子ども」観が、現在の我々の「子ども」観と同じで、児童福祉法で書かれている児童(子ども)はルソーの子ども観と同じものである。」
などのお話から、
「2006年に教育基本法が改正されました。今の日本はこの新しい教育基本法が目指す 『生涯学習社会を基盤とし地域と学校、家庭が連携した社会』、これを実現するために教育政策を1つずつ積み重ねている状態である」
「自分の人生をより豊かにするだけではなくて、もう1つの目的として地域課題(子どもの貧困なども含む)を解決していく。こういう目的も生涯学習の目的の1つになっており、まさに地域活動はその両方を実現するための生涯学習に学びの場であるということになる」
といった、子どもの貧困の解決が教育基本法によっても影響を受けていること。
また具体例として「地域学校共同本部」の設置によるコミニティ・スクールの推進や、「放課後児童クラブ(学童)」と「放課後子ども教室」のお話。
これらの活動の推進の要因でありキーとなる「児童の権利条約」、2015年の「持続可能な開発のための2030アジェンダ(SDGs)」や、その他2013年の「子ども貧困対策法」など、世界、国レベルの条約や法律による変化、これから変化していく方向など、現場で支援するだけでは中々気づけない、大きな枠組みや流れなどを、ご教授いただきました。
またそれだけに留まらず、
「(貧困の連鎖を断ち切るために)子どもが自分を大好きになるためには”愛”が必要」
「子どもに『やってあげてる』と思って接しているとすぐバレる」
など、支援する身からすると引き締まる言葉を頂いたりしました。
最後に、我々のような支援団体が何をやっていけば良いか、ご助言いただきました。
「やっぱり、ひとのわ協会さんのような団体様にして欲しいのは、人のネットワークづくりにつながるような活動です。そしてその継続。
そうすると、いろんな能力のある人が関わってくる。そういう中で何かあった時に、『あ、でもあの人に頼めばこうなるかな?』『この人に頼めばあーなるかな』っていうことで、そこからまたどんどん人と人との繋がりがつながっていく。そういう中でまたいろんなアイディアが出てきたり、それまでできなかった新しい活動が出来たりする。それはやっぱり全部、人の力。
どういう人とつながるか、どういう人的ネットワークを作り上げていくかが、活動の力になるので、うまくネットワークを作って欲しい」
くしくも、ひとのわ協会の「ひとのわとは、人の和であり、人の輪」「子どもが笑顔になるための活動をしている人たちを繋げる和と輪となり、応援したく思っています」という設立の精神と合致するものとなりました。
今後もひとのわ協会では定期的に講演会・セミナーなどを行っていく予定です。
講演会・セミナーにご興味をお持ちの方やは、コンタクトフォームよりお問い合わせください。